ファミリーの皆様、父上、母上、お初にお目にかかり申す。拙者、ビーノという名のしがなき老いさらばえた犬でござる。
此度、先輩、政宗殿のお口添えにてこの場をご紹介いただき、初の事の挨拶でござる。
拙者は、ここに来る前、若き頃に由々しき事態に遭遇し、その際、右大腿骨を粉砕骨折、両足の大腿骨頭を切除せねばならぬ程の大刀傷を受けたでござる。そのため、後ろ足の歩みの刻みは他の者よりもかなり小さく、ドックランを元気に走ることもできぬ状態でござる。更に、一見拙者の瞳は綺麗に見えるとは存じまするが、実は、両眼とも網膜剥離のため、殆どの物影を識別することが難しいのでござる。
なーに！そのような些細な事、皆様心配なさるな！拙者は日頃から鍛え上げた全身の感覚を使い、スタッフ殿の手を煩わせる事もなく、部屋とランの行き来ができるのでござる。
かのような拙者でござるが、今後ともよろしくお願いいたすでござる。